備えあれば憂いなし

相続人がいない場合


日本の少子化が問題視され始めてからもうずいぶん経ちます。
また年配の方々の孤独死という問題もあります。
実際、家族を残さずに亡くなる方は増える一方です。
そのような方が増えると一つの問題が持ち上がります。
「遺産を受け取るべき法定相続人がいない場合、故人の遺産はどう扱われるのか?」という点です。

実際このようなケースは増えていますが、具体的にどのような物事の展開があるのでしょうか。
ご一緒に見てみましょう。
まず第一段階です。
故人に相続人がいない場合、家庭裁判所は「相続財産管理人」選定します。
これは一般的には弁護士や司法書士が選ばれることが多いようです。
この立場に選ばれた人は、遺された財産の管理や精算を任されることになります。

このようにして家庭裁判所は、改めて相続人の立場にある人がいないか、いれば名乗り出るように促すことになります。
第二段階としては、故人に対してお金を貸していた人や、あるいは故人の遺言により財産を受け取ることになっている人物がいるなら申し出るように布告を出します。
第二段階でも相続人が名乗り出ない場合、その後も六ヶ月に渡り「なんらかの形の相続人」を探す努力が払われます。
これが第三段階です。

それでも相続人が現れないとようやくここで相続人不存在が確定することになります。
その後第四段階ではどのようなことが行われるのでしょうか。
この段階では、生前に故人と生計を共にしていた人物や、故人の介護や世話など特別な関係にあった人が財産の分与を請求することができます。
ただし相続人不存在が確定してから三ヶ月以内でなければなりません。

例えばどのような人が上記の枠に当てはまるのでしょうか。
内縁の関係にあった人物などは先の関係に当てはまります。
そのような特別縁故者へ遺産が分与された後、さらに残りの財産があるならば、それらは国庫に納められることになります。
いかがでしょうか。
法定相続人がいないというのは事の他大変なことなのです。
最終的に国の物になるとは言っても、それまでにはかなり長い時間がかかり、しかるべき相続人を探すための多大な努力が払われているのです。